愛は花、君はその種子①

『愛は花、君はその種子』

永井画廊で、昨年から始まった企画展。「佐藤一郎とその仲間たち展」テーマ「薔薇」、で描いた作品です。佐藤一郎先生は、大学院の研究室の先生であり、その仲間たちというのは、先輩方や後輩です。普段の展示とは違う緊張感を持って制作しました。

この作品は私の中で強い思入れがあります。普段は、女性像をメインに描くことが多かったのですが、テーマが薔薇ということで、今回は薔薇をメインで描きました。すんなりいくかと思いきや、描いては消し、描いてはキャンバスを貼り直すという、、、中々前へ進めなかった浪人時代を思い出させる時間になりました。何度描いても納得できず、筆を投げ出したくなったときに、一度薔薇を忘れようと思い、好きな音楽を聴いてリラックスして、気持ちを静めました。

そして、気持ちを改めて筆をとりました。その後のことはあまりはっきりとは憶えていないのですが、自分が描いたというより、勝手に手が動いたという感覚が残っています。こんなことは初めてでした。意識的に描くのではなく、自分の中の感覚だけを頼りに描いたのだと思います。

もちろん私が描いているので、色使いや技術などは私自身のものなのです。ただ意識的に描くときと違い、自分自身の「何か」と調和する感覚に集中して描きました。その「何か」というのが、私の中では物凄い発見で、今まで眠っていた感覚を開くことになりました。
では、「何か」とは?これはどのように例えれば良いのかと、ても難しいのです。

例えば、線を引くとき、今までは意識的に引いていたものを、手(脳?心?)の動きだけに任せて描きます。
そうすることによって、今まで私がみてきた、調和のとれた線、美しい線、心地よい線、というのが画面に描かれいきます。私がみてきた線という表現が正しいのか、もともと人間の持っている調和したリズムの線なのか、どちらも正解のような気がします。

何も考えないで、絵を描いたのは、何年ぶりだろう、、、。そもそも私が描いたというより、もう一人の私?それか他の何物か?に描かされたという方が正解かも知れません。

この作品をきっかけに、自分の今までの生き方や、ものの見方、世の中の見方など、違う角度からみるきっかけになりました。

②へ続く。

[ 愛は花、君はその種子① ]作品2019/11/04 21:21